2017年11月20日

精一杯生きるって

大河ドラマ『直虎』、今日もまた悲劇の回でございました。

菜々緒さんの演じられた瀬名が、
本当にもうただただ美しく気高く…そして哀しく。
(涙を一杯ためながらも…滂沱とはならず、という所も矜持があって好き)
男前な中村織央(なかむらおずの)さんの石川数正ならずとも、
御方様のあの覚悟の姿には感極まり、
せめて、
「あなたは本当に美しい人とお伝えしたい」…という気持ち、
全く共感しました。
(でも数正は本当に御方様が好きだったのかも。それもいい)

信康も…父や家臣に最後まで応えようとする…本当に素晴らしい若殿で。
平埜生成(ひらのきなり)さんは舞台中心の俳優さんらしく、
そのせいなのか台詞はハッキリ、目配りなど高貴な佇まい。
その整整としたお顔に一筋涙が溢れる所(一つ前の回)、
何度見ても切ないですね…。


歴史的には築山殿(瀬名)は「悪女」と評される事が多かったのですが、
何故かいつも自分はそれには承服できなかった。

そもそも勝者のものである歴史(各家の正史というか)って、
その主を上げんがために(正当性を強調したいがために)、
特に都合の悪い立場の女子供は貶められる事もよくあると言われます。
築山殿とか徳川信康はその最たる人だという印象で。

しかし、正史から見てどんな不都合な立ち位置の人物であっても、
その人々にはその人々の言い分があろうと常々思っている。
それが「正しいか正しくないか」という見方・裁き方は、
後世が正史を基準にして考えるから、そう意味付けられてしまうのであって、
そもそも人とは皆自分の気持ちはそれぞれあるわけで。


その「歴史的」には、
信長と家康の間になんらかの「信康問題」が起き、
ああした最期を強いられた原因として、
従来の「信長が信康を除こうと強く家康に迫った説」の他、
(優秀な徳川信康が将来、
信長嫡男:信忠にとっての脅威になるだろうという考えから等)
「家康とそもそも信康が不仲だった説」(この場合は信康が暗愚であるとされる)、
そして「武田と信康が内通した説」
(当時まだまだ武田の勢力は戦国屈指だったため、
織田よりも武田と信康が考えた等)
更に、
「築山殿と家康実母:於大の方と不仲(築山殿は今川の血筋ゆえ)説」、
(これは直接的な原因というより、信康の自刃を後押しする力となったと)、
など色々取り沙汰されて来て…結局今でも本当に謎の事件ですね。
(しかしながら信康ともども築山殿が粛正されたという事は、
この母息子の痕跡を完全に徳川から消したかった誰かが居る…、
という事を意味していると私は思っています)


そしてまた、
戦国時代は現代の感覚では計れない部分も多々あるし、
その意味で色々大変だったし仕方無いと分かってはいても、
それでも「嫡男を死に追いやった父」という点で見れば、
(それぞれ家中的には説明つけてるけど)
武田信玄と徳川家康の印象は個人的には…あんまり良くはなかった。

でも…今回のシナリオの運びを見ていると、
同盟者といっても実質は、信長と主従関係に近かった家康にとって、
短気で元ヤン?な信長wwwにメンチ切られたり、
態度で威圧されたりで(これがホントの忖度よの)、
精神的にかなり追い込まれた状態だったのはあり得るな…と。

ドラマ中瀬名が、
今後信康が許されて徳姫との間に子が生まれたら、
「それを私と思うて」と言う所、
(このままで居たら、信康が許されると瀬名は思っていないわけなので)
周囲への気遣いと御本人の今生への決心が伝わって、
たまらない気持ちになりました。


そして。

今回は深く悲しかったと同時に、本当に素晴らしい回でもありましたね。
今まで井伊谷の人々と我々視聴者が経験して来た事が沢山繋がって。

「直虎の今まで」がどれほどの艱難辛苦であり、
それを越えて来た「直虎の凄み」が今まで分からなかった万千代だけど、
巡り合わせと戦国の不条理に打ちのめされ、
もうヒシヒシとそれを感じて…大人になって行きましたね。

そしてそこに介在する「姿なき政次」の存在感がもの凄かった。
普通こういうのって高橋一生さんの過去の出演シーンとかを
「絵的に」挿入するもんだと思うけど、今回はそれが一っつも無かった。

だけど皆の心にどれだけ政次が生きていた事か、
それがどんどん「残された者達の言動から」浮き彫りになって…
そしてその政次の心が皆を今一度結んで、更に皆の力を強くしていく過程に、
特にここの所少々老成していた直虎を奮い立たせて行く所に、
本当に胸熱になりました。
(南渓和尚のあの煽りも、
苦しさに閉じ込められた直虎を再び解放する突破口となるものだったと…思います)


家康を呼び覚ます万千代も良かった。
覚悟の決まった万千代の、あの堂々たる真っすぐさ。
真っすぐに家康に向かって…悲しみも辛さも皆、糧として運命と戦おうと、
そう鼓舞する純粋な姿。
万千代は心から信康に成り代わろうとしていたのですね。
そしてそうした万千代にだけは心の内をさらけ出し、泣き叫んで吐き出し、
やがてその気持ちに応える家康。

家康が万千代を特別に思ったのはこの瞬間、
そして万千代が真の徳川家臣となったのもこの瞬間、
…ここも本当に胸熱な徳川主従でした。

今回は最初から最後まで、
人間の結びつきの激しさ、哀しさ、惨さ、強さ、美しさが胸に迫りました。
どんな時代であってもそこは変わらない所だと…。

精一杯生きるって、自分を精一杯活かすって本当に大変な事。
でもそれが出来たら…本当に生きた甲斐がある。
いろいろしみじみ思う一夜でした。
posted by 夏草 at 01:16| Comment(0) | 大河ドラマ☆おんな城主 直虎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月20日

この身に替えても

『直虎』…とうとうこの日が来てしまいましたね。

高橋政次の最期の日。

大河ドラマは大河といえども「ドラマ」です。
創作です。

しかしそこに史実(と認定されている事)や逸話などを盛り込み、
歴史劇として視聴者に訴えかけるドラマに…というスタンスはまだあります。
だから今回、歴史的には嫌われ者の扱いも目立つ小野但馬守を、
最期はどのように表現するのか…と思って見ていましたが。

余りにも衝撃的で言葉がすぐには出ませんでした…。

でも間違い無く、今後とも長く私の心に刻まれるであろうお話でした。


☆以下ネタバレありますので、未見の方は読まないでくださいね☆


小さな力の無い井伊の国。
井伊を必死で守ろうと奮闘する人々の、熱く健気な頑張り。
ここでの小野政次もまた、
本当に人一倍身を粉にして戦った人でしたね。

苦く辛く苦しい闘い。
でも最期に…あのような幕切れを迎えるとは。

政次が磔になる所を直虎が見届けると決めたので、
「ああ…直虎は政次が皆に蹂躙される所を見届けるのか」…と、
私は思っていました。
政次がこんな風に穢されるのを見届けなくてはならないなんて、
(見届けないという答もあったけど…
大事な政次の死を引き受けなくてはと、
直虎は決意したんだな…と)
小国の主であればこそ、直虎は本当に本当に辛いな…と。

しかし。

直虎が文字通り引導を渡したのですよね。
表面的には「奸臣を成敗する」と見えるように振る舞い、
周囲(特に近藤さんね)を圧倒し、井伊の正当性を主張しながら、
あの者達から政次が穢されるのを守り、政次の死を守りきった。
この手で送ってやる事こそが…、
直虎の最大の愛情表現となってしまった事が本当に悲しいですが…。

そうして同時に「政次の死を決して無駄にはしない」と伝えた。
血反吐を吐きながら、直虎に「見守っている」と応える政次。
その血しぶきが直虎の白い頭巾にかかっていて…たまらなくなりました。

直虎はもはや立派な戦国武将です。
あのような苛烈な局面に直面させられ、
心を切り裂かれながらも決死で踏ん張った。
涙一つ見せずに一世一代の強さを結集して…政次に引導を渡したのですよね。
それは…井伊を守り、政次の心に応える事だから。

辛くて悲しくて…本当に切ないです…。
でももの凄く壮絶な愛だな…。


シナリオの森下さんは…『黄金の日々』がお好きなのでは…と、
かねがね感じていましたが、それで連想した事がありまして。

『黄金の日々』では根津甚八さんが演じた石川五右衛門に、
もの凄く有名なシーンがありました。
(根津甚八さんの石川五右衛門は本当に素晴らしかった)

太閤の寝所に押し入って捕まり、五右衛門は名高い「釜茹で」になるのです。
鬼気迫る、心に刺さる大変なシーンでしたが、
今回個人的に…『直虎』の政次の死のシーンは、
それに匹敵するくらいの衝撃と感銘を受けました。

政次の死を胸に刻んで…今後の直虎はもっと強くなるのかもしれません。
もっと強くしたたかに…ひとかどの戦国武将に。
そして…直政が徳川の懐刀となって井伊は返り咲く。

いえ、返り咲くのではありません、
もっと大輪の花を咲かせる事になるのです。

その日を一番喜んでくれるのは…政次に違いありません…。
posted by 夏草 at 22:02| Comment(0) | 大河ドラマ☆おんな城主 直虎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月17日

そして直虎らぶ

大河『直虎』…とうとうというかついにというか、
戦国のビッグネームも続々登場してきて…、
華やか且つ凄みが増して来ました♪。

いやあ…この大河では浅丘ルリ子さんの寿桂尼が…、
ホントにカッコいいですね!!。
この浅丘さんを見られてホントにホントに良かった。
直虎にとっても女城主というか女大名の大先輩である彼女。
あれだけの家を切り盛りしていたのですから、
それはもう涙も笑みも策略・腹芸……堂々たる為政者ぶり。

常々思っているのですが、
喰えない人物、大人物というのは…実は結構本音を言う人だと。
そう、つまんない嘘は言わない。
つじつま合わせに四苦八苦して面倒な事になるだけだし、
第一、人間って本音キャラに好感持つからね。
本音を言って相手に「お!」と思わせつつ懐に入り込む。

そして…本音の間に…実は巧みに腹芸を挟んで来る。
そこの継ぎ目が澱み無いというか…変幻自在というか、
結果相手を押したり引いたりして自分のペースに巻き込んで行く。
極々自然にそういうい風にシフトできるという所が、
この手の人物の凄さだと思います。

そういう手練れ感がハンパ無いですね、寿桂尼と…そして松平健さんの信玄!。

いやあ…この信玄公も華があるよね…。
まさに赤い大入道!いや楽しくなって参りました♪。
表面は二人ニコニコしながら、水面下でのジャブの応酬!面白かったね♪。

そして直虎の方ですが。

失敗を乗り越え、四面楚歌・艱難辛苦を耐え、
龍雲丸との出会いやら、
政次とようやく上手にタッグを組めるようになるやら、
悪戦苦闘試行錯誤しながら…、
我らが城主、堂々たる一国の主になって来ましたよ!!。

思えばホントに、
人無し金無し経験無しの新米領主、よくぞここまで立派になられた!!。
なんかもう…何故か傅役的な気持ちで殿を見守っている自分www、
ちょっと(かなり)感動しておりますよ。

史料があんまり無いから、
シナリオライターさんの力量で作られる世界だけど、
一足飛びに「有名所に無理に絡ませて行く」ストーリーでは無く、
地道に直虎を作り上げて行った過程は素晴らしい。
私個人はとても楽しませてもらってます。


そうなんですよ。
今回のドラマでは何と言っても、
高橋一生さんの政次が凄いキャラなので、
そこは一番目が行く所とは思いますが…、
実は直虎の人物像もとても良いと思って見てます。

優等生では無いけれど…十分に聡明で伸びやかで、
鉄人では無いけれど打たれ強く、
しかし可愛らしくもあり頼りない所もあり。
王道って言えば王道な主人公ですが、しかしいざとなると肝が据わる。

そう、いざとなると果敢に剛胆なんですよね、直虎。
好きです。

最近友とよくこの事について話すんですが…
心理学的に言うと、人間は実は自分の中に両性を持っているんだそうで、
つまり男性の中には実は女性性が、女性の中には男性性があると。
で、人間が練れて来るというのは…、
自分の中の異性を自分の性と上手く統合できる時らしいと。

ドラマの直虎はまだ若いけど、もうそういう所があると思うんですよね。
勿論、領主という男性的な立場につく事になったので、
彼女の中の男性性が表面化したのはあるけれど、
シナリオ的に人間として磨かれて来たと。

そういう信頼感が直虎にはあります。
これからがとても楽しみな主人公。

そして…井伊はまた嵐の渦中に投げ込まれる事になりますね。
前門の甲斐の虎、後門の三河の若狸、
東からは小田原の汁かけご飯の人、北からは越後の龍、
そして…西からは第六天魔王ですよ〜〜素晴らしい!!!(^^;
わはははははははははははははは。

こんな状況なので…今川から寝返る井伊なのです。
生き延びるためにはなんでもやる。
これが小さな井伊の死にものぐるいの闘い方。
戦国期の生き方には色々あり、
去年の真田信繁に象徴されるような、
一家への忠義とは違う戦国の生き様が…ここにあります。

私個人はどちらの生き方も、
その人が納得して突き進んでいれば良いな…と思うんですよね。
戦国時代は徳川期に比べて「自分の生き方を通せる」時代だったし、
(家を守るのが大前提ではありましたが、
忠義の考え方は「二君に見えず」では無かったので)
そういう風に生き抜いた人々に胸熱になります。

そして…今川家も今回とてもちゃんと描かれていて凄く感動してます。
今までの創作では、
今川氏真はどうしても「ダメ坊ちゃん」的になる事が多いのですが、
今回はそこに「風流の道が後々の氏真を助けて行く」という、
歴史的な事実が先触れとしてもイメージとしても重ねられていて、
凝った展開になっていると感じます。
文化的な人だったんですよね、氏真。
そして妻:早川殿と仲も良かったらしい。
その辺も出て来て…なんかこちらも胸熱でした。

あとは…今川に粛正された水野某ですけど、
水野氏って言うと…ます思い出しちゃうのは水野勝成であり、
次には…家康母:於大の方の実家ですよね。
どっちにしろ家康関係を連想して内心「お」となったですw。
今回の水野さんは「尾張の」って書いてあったし…、
この辺は面白いので調べてみようかと。


で!、
第三十話からは怒濤の展開との事。
(徳川四天王もキャスト出そろいましたね。
去年『真田丸』に井伊直政が出なかったのって、
今年の『直虎』に配慮したんですね、きっと。
個人的には…尾美としのりさんの榊原康政が気になるwww。
あ!あと…六角精児さんの本多サド守もw。
去年は近藤正臣さんの喰えない素敵なサドだったけど…、
今年のサドは曲者っぽwww)
ここから…弱小井伊が更に耐えて忍んで…、
そして輝かしいあの井伊家になって行くのですね〜!。
あのオープニングのファンファーレが現実のものとなる日が!。

楽しみだなあ!!。
……しかししかし…政次が……。
そして龍雲丸が……。
ああああああ!!!どうなるどうなる。
(やっぱりとっても心配だよ)
posted by 夏草 at 00:34| Comment(0) | 大河ドラマ☆おんな城主 直虎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする