2009年10月25日

御殿様とお香 〜信長公と蘭奢待(らんじゃたい)〜

ちょっとお休みしていたお香のシリーズ、
今日はあの、日本一の名香「蘭奢待」のお話を。
有名なエピソードなので、御存知の方も多いかと。

「蘭奢待」は伽羅(きゃら)の銘木で、
御存知のように東大寺:正倉院御物です。
という事は…早くから国家の宝物という認定がなされていた、とても貴重なもの。
でも実物は…156cm、11.6kgもある巨大お香木。
(しかし、この香木とか銘とかいうものも、
定義は厳密には色々あるようで、
正倉院にある香木自体は「黄熟香」であって、
切り取ってからの名前が「蘭奢待」であると。
そして、
「名香」というのは「素晴らしいお香」という意味で、
「銘香」というのは「名前のついた香木」という事だそうです。)

お香はもともと東南アジア原産で、
密林の木が樹脂化して重くなり「水に入れると沈む」事から、
「沈香(じんこう)」と呼ばれているもの。
この沈香の中で最も優れたものが「伽羅」です。

ちなみに「この種類の木は必ずどれも香木になる」という事は無いようで、
香木になるのは「たまたまその木が」という事らしい。
なので、希少度はますます高くなる訳です。

お香は暖めないと香りません。
また、同じお香木と言っても、場所によっても微妙に香りが違う。
このような繊細さ、その妙なる香りと希少価値故に、
日本の長い歴史の間、ステイタスシンボルとしても、
文化教養の一つの象徴としても、香木は珍重されて来たのです。

以前ここに、
香木が日本に渡ったのは仏教と同じ頃(522年か538年)と書きましたが、
「香木」に関する一番古い記述は595年で、
故に「この年伝来」とする事も多々あるようです。
どっちが正しいのかは…所謂「諸説」という事で(笑。

で、蘭奢待に話を戻しますと、
この銘木、非常に名高いために…時の権力者が欲しがった。
信長公とて例外ではありません。
というか…信長公なら欲しがるでしょうね(笑。

ちなみに、
蘭奢待には、「切り取った人の名前を小さい紙に書いて、
切り取った場所に貼っておく」というならいがあるのですが、
現在の蘭奢待には、信長公の他には足利義満、足利義教、足利義政、
そして明治天皇の名前がある。
歴史的にちゃんと認定されている切り口はこれだけなのですが、
最近の研究では、合わせて38ヵ所から切られており、
同じ場所から取られている事も考えると…、
蘭奢待は50回は切り取られているらしい。
どうも…所蔵している東大寺の代々のお坊さんとかも、
…内緒で切っていたきらいがあると。

さて、話を戻して…信長公です。
一度東大寺に「蘭者待が見たい」んだけど…と打診したけど、
如何せん、御物だから勅許が無いと、どうにもならない。
で、東大寺には素気無く断られてしましましたが、
そんな事で諦める信長公ではありませぬ。
で…結局「鳴かぬなら…」的な超強気押しでついに東大寺から、
蘭奢待をせしめる事に成功します。

でもって、その切り取った大きさが凄い。
一寸四分というから…4cm角くらいになりましょうか。
そしてこれを「焚いた」らしいです、利休とか茶会に呼んで。
「聞いた」では無く「焚いた」的な使い方だったと…、
どこかで確か読んだ記憶が…(また肝心なトコがうろ覚えですみません。
信長公ならやりかねんと…(笑。

そして。
蘭奢待は別名「東大寺」とも呼ばれます。
これは…「蘭」の字の中に「東」が、
「奢」の中に「大」が、「待」の中に「寺」が入っているから。

その辺の話絡みでは…2〜3年前にアニメ『モノノ怪』で、
この意味での「東大寺」を取り上げていました。
『鵺(ぬえ)』の回です。

これは話題になったので、御覧になった方も多いでしょう。
ホント、とても良い出来映えのアニメです。
お香の事も脚色してありますが、概ねあんな感じで良いと思います。
でも、ほんのちょっとだけホラー話なので、
そういうのがもの凄く苦手な方にはお勧めはできませんが、
絵柄も綺麗だし、世界観も素敵なので、
未見の方には是非是非お勧めします。


☆関連事項☆

『御殿様とお香 〜伊達家編1〜』
http://ikiikien.seesaa.net/article/129841193.html

『御殿様とお香 〜伊達家編2〜』
http://ikiikien.seesaa.net/article/129908148.html

『御殿様とお香 〜第一夜、第二夜の補足〜』
http://ikiikien.seesaa.net/article/130217782.html

『御殿様とお香 〜伊達家編3〜』
http://ikiikien.seesaa.net/article/130365621.html
ラベル:織田信長
posted by 夏草 at 01:48| Comment(0) | 歴史の周辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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